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2015年1月

二十年前

20年前の今日、わたしは病院にいた。

集中治療室で地獄の一晩を過ごし、ようやく病室に戻された後だった。

鼻には管が差し込まれ、腕には点滴、そして胸には大きなガーゼがはられていた。

40代前半だった美しい母は一夜にして前髪が真っ白になっていたのをよく覚えている。


来日して半年が経った頃、心電図検査で反応がなかったため、異常がないかを学校の先生に付き添われて検査へ。

そして後日、家族全員が病院に呼び出された。

医師に告げられた病名は、先天性心疾患---心房中隔欠損症。

生まれつき心臓に穴が空いていて、血液がその穴を通り体の中を逆流していた。

運動をすると血流が激しくなるため、その度に穴は大きくなっていく。

この病気自体は自然治癒することもあり、5、6歳の時に発覚すれば薬を飲むだけで治ることもあるらしい。

けど発覚が遅れると、手遅れになるという。

わたしの場合は幸運なことに11歳で病気がわかり、手術をすれば治ると言われた。

しかし、発病することはなかったものの、心臓は大人の男性サイズにまで膨張し、検査した時点で穴は直径2.5センチになっていた。

「あと一年遅かったら、手術をしても30歳までしか生きられなかっただろう」と、当時母は医師にそう告げられ恐ろしい思いをしたという。


手術は3時間半におよび、当初の予定より1時間以上かかったらしい。

原因は心臓の穴が検査時より更に1センチ広がっていたために、穴を塞ぐのに用意した布のサイズが足りなかったからだと、後に聞いた。

幸い術後の経過は良く、数日で点滴がはずされた。

子どもだったわたしにとっては病気も、手術も、点滴も、恐いと思ったことはなく、嫌だと感じたこともなかった。

唯一イヤな思いをしたのは、胸のガーゼを取り外された時だった。

大きな傷が胸を縦に縦断していた。

傷の下方両側には穴が二つ空いていて、そこから針金が通され体内に差込まれていた。

女の子であることを医師が配慮してくれ、胸を開いた傷は深い傷跡を残してしまう糸では縫わずに、人体用の糊のようなものを使ったのだと聞かされた。

しっかりとくっつくまでに、針金を体の中に通して傷を支えていたのだ。

その針金を抜かれた時が、わたしの人生の中で最も嫌な体験だったと言っても過言ではないほど、それはそれは辛いというか、気持ちの悪い感触だった。

けれど、体に傷は残っても、命の大切さを知ることができた。


与えられた二度目の命、一日一日が本当に貴重に感じられた。

32歳の誕生日を迎えられたことに感謝し、メッセージを送ってくださった多くの方々に感謝します。

ちょっとしたタイミングのずれで今ここには生きていないかもしれなかったことを思うと、時に恐ろしくなることもあるけれど、それだけに幸せな人生なのだと思う。

人なんて、いつ死んでしまうかわからない。

だからこそ命は大切で、だからこそ悔いのない人生を過ごしていきたいと、心から思います。

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